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新国立競技場の余波・・・「都営アパート」立ち退きを迫られた住民、国に要望書を提出
2015年08月31日 19時14分

国立競技場の建て替えにともなって、東京都から立ち退きを迫られている都営「霞ヶ丘アパート」(東京都新宿区)の住民が8月31日、遠藤利明・五輪担当相と下村博文・文科相あてに、アパートの存続や話し合いの場などを求める要望書を提出した。

要望書の提出後、アパートの住民4人が東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開いた。会見に出席した住民の女性(88)は「この場所で、自分の一生を終えたいと今まで思って過ごしてきた。夜も眠れず困っている」と訴えた。

国立競技場の建て替えにともなって、東京都から立ち退きを迫られている都営「霞ヶ丘アパート」(東京都新宿区)の住民が8月31日、遠藤利明・五輪担当相と下村博文・文科相あてに、アパートの存続や話し合いの場などを求める要望書を提出した。

要望書の提出後、アパートの住民4人が東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開いた。会見に出席した住民の女性(88)は「この場所で、自分の一生を終えたいと今まで思って過ごしてきた。夜も眠れず困っている」と訴えた。

●「東京都から一方的な移転通知と移転先の説明があっただけ」

1960年代に建てられた霞ヶ丘アパートは、旧国立競技場の敷地にほど近い場所にある。現在、約140世帯200人以上が暮らしているが、新国立競技場の建設計画にともなって、東京都は10棟あるアパートすべての取り壊しを決め、来年1月末までに立ち退くよう住民に求めている。

すでに別の場所に移転した住民もいるが、アパートの取り壊しに反対する住民たちは「東京都から一方的な移転通知と移転先の説明があっただけ」と反発している。これまで3度にわたって、東京都に要望書を提出したが、新国立競技場の建築計画が「ゼロベース見直し」になった今でも、回答は得られていないという。

●88歳女性「この歳で引っ越すとは思いませんでした」

住民たちの多くは高齢者で、長年暮らしてきた土地に対する思い入れがある。また、医療や介護の面からも、住んでいる場所や環境を変えることに対して、身体的・精神的な不安を抱えているようだ。

94歳の母親を介護しているという68歳の女性は会見で、「霞ヶ丘に生まれ育ち、この場所はふるさとです。できるだけ協力して、良い方向でオリンピックが迎えられたらと思いますが、あまりにも突然で、強制的なので納得いきません、きちんとした説明をしてもらいです」と話した。

一人暮らしの88歳の女性は「半世紀以上、このアパートに住んできました。『終の住処(ついのすみか)』だと思っていましたが、その場所をとられるわけです。この歳で引っ越すとは思いませんでした。本当ならこの場所で、自分の一生を終えたいと思って過ごしてきました。夜も眠れず困っています」と訴えた。

この日の会見に出席した住民によると、東京都が移転先として示しているアパートは、現在の間取りよりも狭く、家賃も上がることになるという。今回の要望書の提出先が五輪担当相と文科相になったのは、「取り壊し決定に国も大きくかかわったから」とのことだ。住民たちは9月上旬にも、東京都に対して新たな要望書を提出する予定。

(弁護士ドットコムニュース)

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