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「柔道初心者」の中1部員が「大外刈り」かけられ死亡ーー責任問題をどう考えるべき?
2015年06月05日 16時35分

福岡市の市立中学校1年の女子生徒(13)が5月下旬、柔道部の練習中に、2年生の先輩部員から「大外刈り」をかけられた直後に意識を失い、入院後に死亡した。その責任の所在をめぐって、議論が起きている。

報道によると、生徒は4月に入部するまで柔道経験はなく、5月の連休明けから大外刈りを受ける練習を始めたという。練習には顧問の女性教諭と男性2人のボランティア指導者が立ち会い、あらかじめ仕掛ける技を相手に告げる「約束稽古」をしていた。顧問は全日本柔道連盟による安全講習を受けており、この日の約束稽古では「本気で投げず、つかんでいる相手のそでを離さない」よう指導していたという。

このニュースに対してネット上では「不慮の事故だから、誰を責めることもできない」「私なら顧問と学校を訴える」「危険を覚悟した上で入部した本人と、それを許した親の責任だ」などと、責任の所在をめぐって様々な意見が出ている。

福岡市教委は、第三者委員会を設置して、原因を調べることを表明しているが、責任問題を考えるうえでのポイントはどこにあるのだろうか。高島惇弁護士に聞いた。

福岡市の市立中学校1年の女子生徒(13)が5月下旬、柔道部の練習中に、2年生の先輩部員から「大外刈り」をかけられた直後に意識を失い、入院後に死亡した。その責任の所在をめぐって、議論が起きている。

報道によると、生徒は4月に入部するまで柔道経験はなく、5月の連休明けから大外刈りを受ける練習を始めたという。練習には顧問の女性教諭と男性2人のボランティア指導者が立ち会い、あらかじめ仕掛ける技を相手に告げる「約束稽古」をしていた。顧問は全日本柔道連盟による安全講習を受けており、この日の約束稽古では「本気で投げず、つかんでいる相手のそでを離さない」よう指導していたという。

このニュースに対してネット上では「不慮の事故だから、誰を責めることもできない」「私なら顧問と学校を訴える」「危険を覚悟した上で入部した本人と、それを許した親の責任だ」などと、責任の所在をめぐって様々な意見が出ている。

福岡市教委は、第三者委員会を設置して、原因を調べることを表明しているが、責任問題を考えるうえでのポイントはどこにあるのだろうか。高島惇弁護士に聞いた。

●練習方法や指導体制は適切か

「事故の責任を検討する上でのポイントは、事故の発生原因は何かという点と、事故を未然に防ぐことは可能だったのかという点にあります」

高島弁護士はこのように切り出した。

「まず、事故の発生原因についてですが、たとえば、先輩による『しごき』が原因で事故が発生した場合、本来の練習とはかけ離れたいじめであるとして、しごきをした生徒個人に対し法的責任を追及できる余地があります。

これに対し、柔道部の練習中に事故が発生した場合、その練習方法や指導体制が適切だったかどうかが問題になります。事故発生時の状況しだいでは、安全面への配慮を怠っていたとして、私立であれば学校および顧問教諭、公立であれば国や地方自治体に対し、法的責任を追及することになります」

今回のニュースの場合は、どのように考えればいいのだろうか。

「今回の場合、柔道経験のない中学1年生の生徒に対し、大外刈りを受ける練習を行った事実の妥当性が重要になるかと思います。

全柔連が公表している『柔道の安全指導』では、競技者の体力や受身など技能習得の程度に応じた段階的な練習が必要であることを指導しています。このマニュアルでは、経験年数1年以内の事故件数が最も多いことが指摘されています。また、技ごとに見ても、大外刈りによる事故件数が最も多くなっています。

このような事実関係を考慮すれば、柔道経験1カ月で受身も不十分な中学生に対し、大外刈りを受ける練習をさせたことは、指導方法として問題視する余地があるでしょう」

●このような事故を事故を防ぐために

同様の事故を防ぐために、今後どのような対策が求められるのだろう。

「柔道の指導については、本来的に一定の危険を内在していることを考慮して、部活動であっても、学校側に高度の安全配慮義務が課される傾向にあります。

近時の裁判例においても、2013年(平成25年)7月3日の東京高裁判決や2011年(平成23年)12月27日の横浜地裁判決などで、学校や顧問教諭の法的責任が認定されています。

大外刈りの指導をいつから開始すべきかといった難しい問題がありますが、今後は、事故発生の防止に向けた指導体制の見直しが要請されるのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

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