どれだけ些細なものでも車の事故に巻き込まれると憂鬱だ。とりわけ大型連休の期間に起きたトラブルは深刻なものになりえる。
たとえば遠出した観光地の駐車場。めいっぱい観光を楽しんだ後に、自分の車につけられたひどい傷…。誰がやったのかわからない。
先日、隣の車に傷をつけられたとするSNS「Threads」のアカウントが、「証拠」となる動画を公開したこともあった。ショッピングモールの駐車場で当て逃げをされ、ぶつけられたドアが開かなくなったという。
作動した車載カメラには、相手の車のナンバープレートが映っていないため、相手の特定が難しいと警察から言われてしまったそうだ。
SNSには他にも「駐車場で車がぶつけられていた」という報告が相次ぐ。
ぶつけた相手を特定して法的措置をとることは困難なのだろうか。交通事故をめぐるトラブルに詳しい平岡将人弁護士に聞いた。
●駐車場でぶつけられていたら、どうすればいい?
——駐車場にとめていた自分の車が他の車にぶつけられた場合、どのような対応をとればよいでしょうか。車載カメラや駐車場の防犯カメラがなければ特定は難しいでしょうか。
駐車場にとめていた自分の車が他の車にぶつけられた場合、道路交通法によって、警察への報告義務があるため、警察へ連絡することになります。
加害者については、警察が捜査してくれることになりますが、実際のところ、防犯カメラやドライブレコーダーなどの証拠がないと、犯人の発見は難しいと思います。
警察の統計では、ひき逃げ事件全体の検挙率は70%前後ですが、年々上昇傾向にあるそうです。なかでも、死亡事故の場合は100%に近く、重傷事故が80%前後の検挙率があるとされています。
すなわち、我が国の警察は、事故後に逃げた犯人を追跡する能力に優れていることがわかりますが、死亡・重傷案件のような重大案件に注力しており、膨大な数の物件事故に人的資源を割ききれないのが実態ではないかと思います。
SNS上でも、駐車中に当て逃げされた報告は多数あがっています。警察の統計で、物件事故のうち、加害者不明の割合などは調べられませんでしたが、相当数あるのだろうと思います。
●ドライブレコーダーをセットする際の注意点
駐車場によっては、防犯カメラの設置がないところもあることを考えますと、自衛のためにドライブレコーダーをセットしておくと良いでしょう。
ドライブレコーダーは、駐車中も録画を続ける駐車監視機能や、衝撃や動きを感知する機能を作動させていれば、加害者車両が撮影されている可能性があります。
ただ、エンジンを切った状態でドライブレコーダーを作動させることになりますので、バッテリーが上がってしまうリスクなどもあるようです。
ちなみに、テスラは標準装備としてカメラが複数装備されており、駐車中も監視機能があるのだそうです。
また、自車のドライブレコーダーでなくとも、周囲に駐車されている自動車のドライブレコーダーに記録されている可能性もゼロではありません。映像の提供をお願いしてみるという方法はあるでしょう。
●泣き寝入りの可能性が高いため保険の内容を確認しておこう
——移動が活発になる連休中や観光地などの駐車場でぶつけられると泣き寝入りするようなケースも増加するでしょうか。
物件事故は、行楽シーズンに増加する傾向はあると思いますが、修理費などの損害賠償請求をするためには、加害者が判明しないとできません。結果として泣き寝入りということも増えると思います。
自動車保険で、車両保険に加入していれば、当て逃げの場合でも自分の損保会社から支払ってもらえます。保険料が上がるなどデメリットもありますが、万が一を考えると加入を検討すべきでしょう。