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飲み屋の男性トイレが行列で入れない!「緊急時」でも女子トイレ使用はアウト?
2013年06月27日 19時45分

夏といえばビールの季節。仕事の憂さと暑気払いに、ビアガーデンでジョッキを重ねるのは楽しいものだ。ただ、ビールを飲み過ぎると、近くなるのがトイレである。

こんな経験をしたことのある男性はいないだろうか。たとえば、「居酒屋でトイレに立ったら、すでに数人の先客が並んでいた」なんてことだ。ビールを片手に大いに盛り上がって、尿意をギリギリまで我慢していたから、さあ大変。このままでは、漏らしてしまう。女子トイレを見れば「空」の青マーク。もう限界! 窮余の一策とばかりに女子トイレのドアを開ける。

ところが運悪く、これが店員に見つかってしまう。「男子トイレが長蛇の列だったんです」と言い訳をしても、店員の冷たい視線……。はたして、こんなときでも、異性側のトイレに入ったら犯罪になるのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●形式的には「住居侵入」にあたるが・・・

「通常は問題にはならないですが、住居(建造物)侵入罪が成立する可能性もあります」

尾崎弁護士はこう語る。

――なぜそうなるのか。

「ざっくり言うと『住居侵入』というのは、管理者の承諾がない場所に立ち入ることです。

男性客が居酒屋の女性用トイレに入ることを、管理者は通常承諾していませんから、『侵入』はあったと言えるでしょう」

――漏れそうだったというのは、言い訳にはならない?

「確かに『やむを得ない』と言いたいところです。ただし、刑法で『緊急避難』が認められているのは、『自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため』に限られています。

質問のようなケースが緊急避難に該当するかといえば、どうでしょう。検討の余地はありますが……男子トイレが空くまで待てなかったのかという論点もあります」

――その流れでいうとアウトなのでは?

「ええ、確かに形式的には、住居侵入罪が成立しそうです。ただ実質的には、トイレに立ち入った動機や立ち入った際のふるまい、立ち入った時間(用を足したらすぐに退去したか)などを考慮して、犯罪不成立とされる、もしくは罪がきわめて軽微であるとして、不問に付されることが多いのではないでしょうか」

トイレに入れず、辛い思いをしたことのある人は多いだろう。もし、目の前に明らかに苦しそうな人がいたら、その人が異性用のトイレに駆け込むまえに、順番を譲ってあげたいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

夏といえばビールの季節。仕事の憂さと暑気払いに、ビアガーデンでジョッキを重ねるのは楽しいものだ。ただ、ビールを飲み過ぎると、近くなるのがトイレである。

こんな経験をしたことのある男性はいないだろうか。たとえば、「居酒屋でトイレに立ったら、すでに数人の先客が並んでいた」なんてことだ。ビールを片手に大いに盛り上がって、尿意をギリギリまで我慢していたから、さあ大変。このままでは、漏らしてしまう。女子トイレを見れば「空」の青マーク。もう限界! 窮余の一策とばかりに女子トイレのドアを開ける。

ところが運悪く、これが店員に見つかってしまう。「男子トイレが長蛇の列だったんです」と言い訳をしても、店員の冷たい視線……。はたして、こんなときでも、異性側のトイレに入ったら犯罪になるのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●形式的には「住居侵入」にあたるが・・・

「通常は問題にはならないですが、住居(建造物)侵入罪が成立する可能性もあります」

尾崎弁護士はこう語る。

――なぜそうなるのか。

「ざっくり言うと『住居侵入』というのは、管理者の承諾がない場所に立ち入ることです。

男性客が居酒屋の女性用トイレに入ることを、管理者は通常承諾していませんから、『侵入』はあったと言えるでしょう」

――漏れそうだったというのは、言い訳にはならない?

「確かに『やむを得ない』と言いたいところです。ただし、刑法で『緊急避難』が認められているのは、『自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため』に限られています。

質問のようなケースが緊急避難に該当するかといえば、どうでしょう。検討の余地はありますが……男子トイレが空くまで待てなかったのかという論点もあります」

――その流れでいうとアウトなのでは?

「ええ、確かに形式的には、住居侵入罪が成立しそうです。ただ実質的には、トイレに立ち入った動機や立ち入った際のふるまい、立ち入った時間(用を足したらすぐに退去したか)などを考慮して、犯罪不成立とされる、もしくは罪がきわめて軽微であるとして、不問に付されることが多いのではないでしょうか」

トイレに入れず、辛い思いをしたことのある人は多いだろう。もし、目の前に明らかに苦しそうな人がいたら、その人が異性用のトイレに駆け込むまえに、順番を譲ってあげたいものだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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